CDRとは? -具体的実践例-

以下に、チャイルド・デス・レビュー(CDR)により、背景にネグレクトの存在が確認された、事故死とされていた外因死の模擬事例を、提示します。
(キャロル・ジェニー著 子ども虐待とネクレクト ~診断・治療のためのエビデンス~ 第62章:チャイルドデスレビューより引用)
CDRを実施することにより、どのような効果があるのかの例として参照してください。

例1

死亡時に把握された病歴

1歳児。プールで溺死。午後2頃、鍵の掛かっていない網戸を開けて裏庭に入り、プールに転落した。

CDRチームにより把握された追加病歴

家族へのグリーフケアを担当した保健師からの情報により、本児の世話を4歳の同胞に任せ、親は昼寝をしていたことが判明した。

例2

死亡時に把握された病歴

5歳児。居住しているトレーラーハウスの近くにある、囲いのない池で溺死。

CDRチームにより把握された追加病歴

児童相談所が本児の児童票を精査したところ、本児が誰も監督のない状況で、池で一人で遊んでいることが多く、隣人らから何度も通告されていたとが判明。これまで寄せられていた通告に対して、児童相談所は一度も調査をしていなかったことも判明。

例3

死亡時に把握された病歴

トドラー期(よちよち歩きの時期)の乳幼児。暑い日に車内に3時間取り残され、死亡しているところを発見された。本児の親は、食料品の片づけをしていて、その後に電話に出て、そちらに気が取られてしまい、本児のことを忘れていたとのことであった。

CDRチームにより把握された追加病歴

調査時に上記の情報が確認された。CDRチームが検討し、子どもを生命にかかわる危険にさらしたとして、警察による捜査がなされ、検察による訴追が検討された。

例4

死亡時に把握された病歴

生後2ヶ月の乳児。両親と一緒のベッドで就寝中に死亡。親が覆いかぶさったことによる窒息死と判断された。

CDRチームにより把握された追加病歴

精査により、両親は就寝前に大量に飲酒した上にマリファナも吸っており、このため眠りが深くなって、乳児が自分達の身体の下敷きになったことに気付かなかったことが明らかになった。

例5

死亡時に把握された病歴

1歳児。自動車事故で車内から放り出された。本児はチャイルドシートに座らされていたものの、シートベルトを着用しておらず、チャイルドシート自体も固定されていなかった。自動車事故の原因自体は、相手方の自動車にあった。

CDRチームにより把握された追加病歴

精査により、子どもを車に乗せた父親は当時酒に酔っていたことが明らかになった。この父親がハンドルを握っていたわけではなかったが、子どもを正しく固定しなかったことが死につながった(正しく固定されていれば、車外に投げ出されることはなかったものと推察された)。

例6

死亡時に把握された病歴

自宅の火災により幼児4人と祖父が死亡。火災は子どもがライターで遊んでいて発生した。当時祖父が子守りをしていたが、車いす生活だったため、助けを呼ぶことも、自ら避難することも、子どもたちを避難させることも出来なかった。

CDRチームにより把握された追加病歴

CDRチームによる精査の結果、両親がかつてネグレクトで児童相談所に通告された既往があり、再発防止指導の際に、祖父が身体が不自由であることと、子どもたちの年齢を考慮し、祖父に監護をさせることは不適切であると指導されていたことが判明した。

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