日本における現状 -現在の取り組み-

2010年、厚労科研で「1-4歳小児小票調査」が行われ、小児医療の集約化の問題が報告された。2012年、死因究明2法が施行。厚労科研より「子どもの死亡予防のためのチャイルド・デス・レビュー創設のためのガイドライン」が示され、日本小児科学会に子どもの死亡登録検証委員会が設置された。2016年、小児科学会パイロットスタディー結果が報告された。2016年末、本研究班が発足した。
2017年の第193回国会で成立した改正児童福祉法の衆議院の附帯決議で、「六 虐待死の防止に資するよう、あらゆる子どもの死亡事例について死因を究明するチャイルド・デス・レビュー制度の導入を検討すること。」が採択された。

小児科学会の取り組み

2011年に小児科学会に小児死亡登録検証WGが設置。2012年1月に「子どもの死に関する我が国の 情報収集システムの確立に向けた提言書」が提出された。それを受け2012年に、子どもの死亡登録検証委員会が設置された。委員会のメンバーの属する4地域(群馬・東京・京都府・北九州市)を対象にCDRのパイロットスタディーが施行され、2016年にその成果が報告された。
パイロット研究では、予防可能性が中等度以上と判断された事例(予防可能死:PD[PreventableDeath]) は登録された全小児死亡事例の27.4%にのぼった。また虐待・ネグレクトが死亡に関与した事例は、全小児死亡の7.3%にのぼり、3.0%が虐待・ネグレクトによる死亡と判断された。予防施策の有効性に関する検討では予防可能死の63.2%(全死亡事例の9.8%)は予防施策有効性が中等度以上と判断され、特に施策有効性が高いと判断される事例は全死亡事例の2.7%存在していた。また不詳死に関する再検証では、全46例のうち真に原因不明と判断された例は5例のみで、41例では限られた情報の中で真の不詳死とするには解決すべき疑義が存在していた。本パイロット研究には様々な限界点(limitation)はあるにせよ、小児死亡の検証を行うことで見えてくるものは少なくなく、このような検証が包括的に実施されることで、虐待死の見逃し防止、有用な予防施策提言実施,不詳死の 包括的な精査/情報共有システム整備に繋がることが示唆された。

厚生労働科学研究の取り組み(当研究班員の関与した研究班の概要につき記載)

小林班
H22-24.「我が国におけるチャイルド・デス・レビューに関する研究」

我が国の子どもの死亡をさらに減らすには、医学医療の進歩だけでなく心理社会的側面への対策が不可欠だが、子どもの死亡の心理社会的側面の分析を行うことはどの機関でも現行では不可能であり、海外で広がりつつあるCDR創設が必要であり、そのための法整備・制度整備が必要であると結論付けられた。また、3年間の研究を受け。「子どもの死亡予防のためのチャイルド・デス・レビュー創設のためのガイドライン」が作成された。

奥山班
H27〜「地方公共団体が行う子ども虐待事例の効果的な検証に関する研究」

2015年度の分担研究で医療機関における虐待死事例の検証がなされ、医療機関で虐待死が強く疑われた事例であっても、児童相談所への通告は虐待群では65.4%、警察への通報は虐待群で88.9%にとどまっていた。また虐待死群で行政の死亡事例検証がなされたことが当該医療機関に把握されていた事例は11.3%に留まり、警察通報された事例のうち起訴に至った事例は16%にとどまっていた。剖検の実施率は、虐待群において54.3%であったが、一方で16%はその後の剖検の有無すら知らされていない状態であった。不詳死群でもその傾向は変わらず、剖検の有無につき知らされていない事例が38.4%も存在していた。臨床医と法医学者との間の情報共有は極めて限定的な状況で、剖検前後に情報交換がなされていた事例は6.9%に留まっていた。

森班
H28~「周産期関連の医療データベースのリンケージの研究」

小児科学会のパイロットスタディーに登録された乳児死亡事例214例のデータを用いて、記載された死因と実際の死因との合致性につき、さらなる後方視的検証を行った。
記載されていた死因病名と、検証の結果の死因病名との間にも、かなりの乖離が確認され、死因の変更を要すると判断した事例(レッド事例)は58例(27%)存在しており、死因変更を要さないものの、死亡診断書の記載に何らかの修正が望まれる事例(イエロー事例)も、48例(22%)存在していた。
死後対応の混乱期に情報もそろわぬ中で正確な死因記載を行うことは困難であり、また死亡診断書は遺族に手渡しするものでもあり、その記載内容から、正確な死因統計を取ることは実質不可能といえ、死後に包括的な情報を集約したうえで、死因の検証を行う体制(チャイルド・デス・レビュー)の整備が不可欠であると考えられた。

溝口班
H28~「小児死亡事例に関する登録・検証システムの確立に向けた実現可能性の検証に関する研究」

本研究では現状でも実施可能な方法で、CDRの社会実装に向けた具体的な実践を行うための研究と、将来的な多機関連携の“漏れ”のない前方視的CDR実施に向けた研究の2つに分け、研究を開始した。
単一施設でもCDRを行う意義につき理解し実践を行おうとする医療機関が参画できる研究体制を組み、オンラインでの登録体制を整備した。具体的な登録施設が拡充していくことで、地域レベルでの検証体制が構築され、さらには多機関連携での検証体制が整備される端緒となることが期待される。
そのような多機関連携体制を促進する上での問題解決を図るため、ならびに研究としては実施困難な前方視的検証を将来的に行う際の諸問題を解決するために、諸外国のCDR、救急医療との連携、法医学-臨床医学連携、警察医との連携、新生児死亡登録システムとのリンケージ、死亡時画像診断の在り方、将来的な前方視的情報収取の在り方、司法事例の情報収集の課題、グリーフケアの在り方につき現状を検討し、それぞれの分野に関しての課題を抽出した。

その他の研究者の方で、本HPへの成果の掲載をしていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ事務局にご連絡下さい。

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